大使挨拶
令和5年1月12日
こんにちは。駐マダガスカル兼コモロ大使の阿部です。
マダガスカルと聞いて日本人がイメージするものはいったい何でしょう。バオバブの木やキツネザルでしょうか。私は10月末にマダガスカルに着任したところですが、首都アンタナナリボがある中央高地にいると、アフリカの国でありながら、水田が広がり、大変日本やアジアに近い風景が広がっているのが印象的です。実際、着任4日目に信任状捧呈のために訪れた大統領宮殿の間にはのどかな水田風景の絵が描かれていました。また、マダガスカルの人たちは三度の食事に米を食するとも言われ、国を挙げて米の自給を目指しています。我が国は、同じ稲作の国として長年にわたってマダガスカルの人たちの稲作に協力してきた実績があり、大変感謝されています。
また、マダガスカルは日本の1.6倍の広大な国土に豊富な天然資源を有しています。こうした環境の下、我が国企業が筆頭株主であるマダガスカルの鉱山会社はリチウム電池などの生産に欠かせない戦略物資・ニッケルとコバルトを生産、精錬するアンバトビー・プロジェクトを遂行しており、1万1千人を直接・間接に雇用すると共に、マダガスカルGDPの4~6%に貢献していると言われています。我が国が1993年以来主催しているTICAD(アフリカ開発会議)は、官民の力を結集した開発援助と貿易・投資の促進を開発のための車の両輪として重視していますが、マダガスカルのアンバトビー・プロジェクトは、我が国の協力による同国最大の国際港・トアマシナ港の拡張事業の実施と相まって、まさにこうした方向性を体現していると言えるでしょう。
このようにマダガスカルは豊かな国土と自然に恵まれた発展可能性の高い国ですが、残念ながら未だテイクオフできておらず、最貧国の一つに甘んじています。私は、着任してから様々な人にその理由を尋ねており、まだ結論を得るには至っていませんが、やはり国家の発展のためには、ガバナンスと政治の役割が鍵であると思われます。マダガスカル政府は今、マダガスカル新興計画(PEM)を策定し、インフラ、エネルギー、農業、人材開発、ガバナンスなどを主要な柱に据えています。今後これらの分野でどのように具体的成果を挙げるかが問われます。マダガスカルの人たちは、総じて勤勉でまじめなので、よき政治的リーダーシップの下、国を発展させていくことを期待しています。また、我が国をはじめとする国際社会もそうしたマダガスカル政府・国民の自助努力を最大限支援していくことが重要です。引き続き我が国として、どのように協力していけるかを関係の皆さんと共に考えていきたいと思います。
マダガスカルは、今年(2023年)の年末に5年に一度の大統領選挙を迎えます。我が国を含む国際社会は、マダガスカルが自由かつ公平な選挙を経て安定的な国造りの基盤を確立できるよう支援していきたいと思います。
コモロについても一言申し上げます。
コモロはマダガスカルの北西に位置する島々(コモロは実行支配する三つの島のほか、現在フランスの海外県になっているマイヨット島も自国領と主張しています)により構成されます。日本との共通点は、島国であること、火山列島であること、米を主食とすることなど様々あります。小さな国ですが、今年(2023年)はAU(アフリカ連合)議長国として重要な役割を果たします。我が国としては、水産分野など我が国の強みを生かした支援を引き続き行っていくことができればと思います。
末筆になりましたが、大使館としては、安全情報の発信など在留邦人の皆様の安全確保や領事サービスの向上のために引き続き努めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。
マダガスカルと聞いて日本人がイメージするものはいったい何でしょう。バオバブの木やキツネザルでしょうか。私は10月末にマダガスカルに着任したところですが、首都アンタナナリボがある中央高地にいると、アフリカの国でありながら、水田が広がり、大変日本やアジアに近い風景が広がっているのが印象的です。実際、着任4日目に信任状捧呈のために訪れた大統領宮殿の間にはのどかな水田風景の絵が描かれていました。また、マダガスカルの人たちは三度の食事に米を食するとも言われ、国を挙げて米の自給を目指しています。我が国は、同じ稲作の国として長年にわたってマダガスカルの人たちの稲作に協力してきた実績があり、大変感謝されています。
また、マダガスカルは日本の1.6倍の広大な国土に豊富な天然資源を有しています。こうした環境の下、我が国企業が筆頭株主であるマダガスカルの鉱山会社はリチウム電池などの生産に欠かせない戦略物資・ニッケルとコバルトを生産、精錬するアンバトビー・プロジェクトを遂行しており、1万1千人を直接・間接に雇用すると共に、マダガスカルGDPの4~6%に貢献していると言われています。我が国が1993年以来主催しているTICAD(アフリカ開発会議)は、官民の力を結集した開発援助と貿易・投資の促進を開発のための車の両輪として重視していますが、マダガスカルのアンバトビー・プロジェクトは、我が国の協力による同国最大の国際港・トアマシナ港の拡張事業の実施と相まって、まさにこうした方向性を体現していると言えるでしょう。
このようにマダガスカルは豊かな国土と自然に恵まれた発展可能性の高い国ですが、残念ながら未だテイクオフできておらず、最貧国の一つに甘んじています。私は、着任してから様々な人にその理由を尋ねており、まだ結論を得るには至っていませんが、やはり国家の発展のためには、ガバナンスと政治の役割が鍵であると思われます。マダガスカル政府は今、マダガスカル新興計画(PEM)を策定し、インフラ、エネルギー、農業、人材開発、ガバナンスなどを主要な柱に据えています。今後これらの分野でどのように具体的成果を挙げるかが問われます。マダガスカルの人たちは、総じて勤勉でまじめなので、よき政治的リーダーシップの下、国を発展させていくことを期待しています。また、我が国をはじめとする国際社会もそうしたマダガスカル政府・国民の自助努力を最大限支援していくことが重要です。引き続き我が国として、どのように協力していけるかを関係の皆さんと共に考えていきたいと思います。
マダガスカルは、今年(2023年)の年末に5年に一度の大統領選挙を迎えます。我が国を含む国際社会は、マダガスカルが自由かつ公平な選挙を経て安定的な国造りの基盤を確立できるよう支援していきたいと思います。
コモロについても一言申し上げます。
コモロはマダガスカルの北西に位置する島々(コモロは実行支配する三つの島のほか、現在フランスの海外県になっているマイヨット島も自国領と主張しています)により構成されます。日本との共通点は、島国であること、火山列島であること、米を主食とすることなど様々あります。小さな国ですが、今年(2023年)はAU(アフリカ連合)議長国として重要な役割を果たします。我が国としては、水産分野など我が国の強みを生かした支援を引き続き行っていくことができればと思います。
末筆になりましたが、大使館としては、安全情報の発信など在留邦人の皆様の安全確保や領事サービスの向上のために引き続き努めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。
2023(令和5)年1月
駐マダガスカル・コモロ日本国大使
阿部 康次
駐マダガスカル・コモロ日本国大使
阿部 康次
- 阿部大使略歴(PDF)(57KB)